診療室から Vol.04 健康
自分の健康は自分で守るのが鉄則
病気は先天的と後天的要因が。
予防は生活習慣の改善で可能。


 近年、食生活の欧米化や冷暖房完備、電化製品の充実、車社会などによって、私達の生活は非常に快適になりました。しかし、その反面、身体の抵抗力は弱まり、病気になりやすい身体になりました。
 例えば、アトピー性皮膚炎や花粉症、気管支喘息(ぜんそく)をはじめとするアレルギー疾患や原因不明の病気が増えています。特に最近は、肥満・高血圧・脂質異常症・糖尿病などのメタポリック症候群の増加が問題になっています。
 これらは、ガン・脳卒中・心臓病の三大死因の病気や歯周病などと共に、生活習慣病と言われています。これを憂い、政府も、昨年からメタポリック症候群の、早期に発見する健診と生活改善指導を始めました。
 人は死を迎えますが、病気が元で死亡する人が多くなっています。病気の原因は、先天的要因と後天的要因がありますが、いずれにしても、生活習慣の改善で病気の多くは予防できます。
 先天的な要因も、親やそのまた親と、先祖代々が正しい食生活や良い習慣をしていたなら、抵抗力や自然治癒力を身に付けることができて、病気になりにくい体質を子孫に受け継いで行けると思います。
 また近年、私達の身体は毎日知らないうちに、環境汚染、食品添加物、農薬残留など、人が生み出した色々な害によって脅かされています。では、そのような害から我が身を守るためにはどうすればよいのでしょうか。病気の原因と共に、その予防策について記してみましょう。


食べないで病気になるよりも、
たいがいの人は食べ過ぎが原因。


 健康を保つために一番大切なことは、正しい食生活であることは言うまでもありません。人間は、食べないで病気になるより、食べ過ぎて病気になることがほとんどです。
 戟前の日本におけるガンの第1位は胃ガンでしたが、戟後は、食生活の欧米化と共に胃ガンが減り、大腸ガン、乳ガンが増えてきました。
 すなわち、食物繊維の摂取が減り、逆に動物性脂肪を摂(と)る量が多くなったためです。野菜や海藻などの食物繊椎を積極的に摂取し、毎日排便する習慣をつけましょう。便通もよくなり不要なものが体に溜(た)まりません。
 味付けは、塩分の摂り過ぎは、高血圧や脳卒中、心臓病の原因になりやすいので、薄味を心がけて下さい。甘い物の摂り過ぎは、糖尿病や骨租髭症(こつそしょうしょう)、認知症などになりやすいと言われていますので、要注意です。日本人は、やはり日本の伝統食である野菜中心の、バランスのとれた食生活、粗食が望ましいと思われます。
 第二に喫煙と飲酒です。喫煙は、まさに百害あって一利なしで、あらゆる病気の危険因子です。最近は男性だけではなく、女性の肺ガン患者が急増しています。また、ガン以外の慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(肺気腫(きしゅ)や慢性気管支炎を含む)も問題になっています。まずは禁煙をするべきです。
 次に飲酒もコップ2杯くらいなら構いませんが、それ以上は控えて、必ず休肝日を作ることです。喫煙者はニコチンの、飲酒家はアルコールの依存症の可能性がありますので、禁煙や断酒をしようと思う人は、専門医の受診をお勧めします。
 第三は肥満。それだけでも病気とされ、またあらゆる生活習慣病の元になります。肥満は食べる量より、消費量が少ないために太るのです。食べ過ぎの人はカロリーの制限が必要です。しかし、自己流の急激なダイエットは禁物です。かえってビタミンやミネラルなどの栄養不足になってしまうからです。特に、女性の無理なダイエットによる痩(や)せ過ぎが問題となっています。
一方、必要摂取カロリーをオーバーしていないのに太る、痩せないという人は、たいてい運動不足です。まずは間食を止め、エスカレーターなどの使用を止め、歩きましょう。
 第四は生活のリズムです。人間の身体は、睡眠を取るようにできています。休息しなければ必ず病気になります。と言って、朝ギリギリまで寝ていて、朝食抜きはいけません。きちんと三食摂り、睡眠も十分に取るという、規則正しい生活をすべきです。
 不眠で困るという人がいますが、これも適度な運動をするなどによって生活を正せば、ある程度は解消されるでしょう。最も長生きする睡眠時間は、7時間という報告もあります。


病気になっても、生活を正さず
薬に依存するのは本末転倒。


 第五は精神的要因。これが最も難しい問題です。「病は気から」 の言葉通り、精神的ストレスによって、身体に悪影響が出てくるのです。最近は社会が複雑化し、色々な面から精神的ストレスを受けることが多くなっています。いかに精神を安定させるかが大切です。
 甘い物の摂り過ぎでカルシウム不足になると、キレやすい性格になり得る可能性が高いと言われています。
 また、近年のインターネットやゲーム、携帯電話の普及で、人間関係が非常に稀薄(きはく)になり、家庭団欒(だんらん)も減り、喜怒哀楽を感じにくいとか、他人を思いやるなど、心を育てることが難しくなっています。今一度、子育てのあり方や家庭団欒を見直すべきではないでしょうか。
 第六に老化。これは人間の宿命です。しかし、これも心がけ次第で老化の速度を遅くすることができます。長生きするなら、元気で長生きしたいものです。
 それには、できるだけ何事に対しても現役でいることです。現役の方は一目瞭然(りょうぜん)、年齢より若く見え、はつらつとしています。年だからと諦めるのではなく、年齢相応で前向きな生き方をして、次世代の手本になりたいものです。
 老化は足からと言います。よく歩きましょう。身体は、使わなければ衰える一方です。最近の研究によると、カロリー制限をしたり、ある間隔で断食をすると長生きをするという報告もあります。
 以上の6項目を記しましたが、不幸にも病気になつた場合、多くの人は病院へ行き、薬をもらいます。そしてこの薬に頼る患者さんが実に多いのです。
 確かに、ある程度の病気は薬で治りますが、副作用も忘れてはいけません。人間には自然治癒力が備わっています。医者や薬は、あくまでもそれを助けるためのものです。生活を正さず、薬で治すのは本末転倒です。他力本願はいけません。
 偏った生活が病気を生むのですから、病気になった時こそ、自分を省みるチャンスです。とにかく予防が第一です。自分の健康は自分で守るのが、鉄則です。