シリーズ 切れる子どもをつくる食生活@ 牛乳が子どもの体と心を蝕む

 
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シリーズ 切れる子どもをつくる食生活@
牛乳が子どもの体と心を蝕む

学校給食にはなぜ牛乳か
 給食時間に当たり前のように出てくる牛乳。パンならいざ知らず、ご飯の時もお茶ではなく牛乳が出る。学校給食には主に、「完全給食」(一食分全て給食)「補食給食」(ご飯などの主食は持参、おかずのみ給食)「ミルク給食」(食事は持参し、飲み物として牛乳だけ給食)の3タイプがあるが、いずれも牛乳が含まれている。献立に細心の注意を払っている学校給食なのに、なぜか牛乳だけは当然のようにメニューに加えられる。例えばこれが、必ず紅茶が飲み物として添えられるとすれば読者はどのように考えるだろうか。毎日特定の品物が出てくるのは、本当はおかしなことである。なぜ牛乳だけが許されるのだろうか。牛乳は本当に子どもに飲ませて良いのだろうか。

牛乳普及の舞台裏
 日本で盛んに牛乳が飲まれるようになったのは、戦後である。GHQ(連合国軍総司令部)の要望で、牛乳・乳製品などの動物性食品の消費促進が推進された。保健所での栄養指導や、病院での粉ミルク育児の指導、テレビ、ラジオ、新聞などでも牛乳普及を促進する報道がなされた。昭和20〜27年の占領期間中、保健所に勤めることのできた栄養士の条件は、乳業の専従栄養士だった。昭和23年には「母子手帳」を乳業メーカーに作らせ、「牛乳(粉ミルク)を飲ませるように」と明記し、カバーには森永乳業、雪印乳業、明治乳業などのコマーシャルが載っていた。いかに行政と乳業界が癒着し、牛乳の普及に努めていたのかが良くわかる。

 昭和33年に学校給食に牛乳が登場するようになってから、加速度的に牛乳の消費量が増えていった。乳業界にとって学校給食は3兆円産業の食材市場であり、乳業界は校長などの天下り先となり、批判する者は飛ばされた。保健所も学校も、政府の経済優先の政策に乗せられた。薬害エイズ事件にしろ、狂牛病問題にしろ、行政を信用できないことが多すぎる。

切れる若者は牛乳を飲む
 今から既に24年前に牛乳・乳製品・白砂糖に注目した犯罪学者がいた。1977年アメリカのアレキサンダー・シャウスは、経過観察中の犯罪者を対象に実験を行なった。犯罪者を2つのグループに分け、片方のグループには牛乳・乳製品・白砂糖を摂取しないように指示し、もう一方のグループにはごく普通に摂取してもらった。

 この状態で2年間観察を続けたところ、牛乳・乳製品・白砂糖を摂取しなかったグループの再犯率は11・7%であったのに対し、普通に摂取したグループは33・8パーセントという結果が出た。ちなみに、アメリカ全土の再犯率は約35%という。牛乳・乳製品・白砂糖の摂取が再犯率を左右する可能性があることを示唆している。日本でも「切れる若者」「学級崩壊」「少年犯罪の増加」など、不安を覚える若者の行動が増加しているのは、戦後の牛乳普及のつけが廻ってきたとも言えるのではないか。

牛乳の普及と骨折の増加
「カルシウム摂取のために牛乳を飲みましょう」というのは、私達が一般的に信じてきた事柄だ。牛乳を飲むと、骨が丈夫になり、栄養のバランスが良くなり、イライラも解消してよく眠れる……などよく聞くキャッチフレーズだ。

 しかし、実際は食品100※中に含まれるカルシウムの含有量はごま、ひじき、煮干し、干しえびなどのほうが牛乳の約10〜22倍もあることが見過ごされている(図・1)。また、牛乳はカルシウムの含有量が少ない上に、人間の身体には吸収されにくい。牛乳に含まれるリンは取りすぎると血中のリンイオンの濃度が高まり、バランスを取り戻そうとして骨の中に貯蓄されているカルシウムが溶け出し、この状態が続くと骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる。

 カルシウムの血中濃度を調節しているのはマグネシウムである。カルシウムの摂取にはマグネシウムを多く含む食品(小麦胚芽、ごま、ゆば、煮干し、のり、昆布、ひじき、小豆、いんげんなど)を摂取することが必要になる。

 日本よりもはるかに牛乳を摂取している欧米に骨折が多いことは、あまり知られていない(図・2)。アメリカでは1000万人の人が骨粗鬆症に悩まされ、50歳以上の女性の二人に一人、男性の8人に一人が、骨粗鬆症が原因で骨折している。アメリカはカルシウムの4分の3を牛乳や乳製品から摂取している。世界で最も牛乳を飲んでいるノルウェーでの骨折率は、日本の5倍にものぼる。日本でも、牛乳を飲んでいなかった昔の人達よりも、今の子ども達のほうが10倍骨が折れやすいという。このことからも、牛乳がカルシウム源として相応しいものではないことが分かる。

「強い骨を作るのにはかつて信じられていたのより、少ないカルシウムで十分であり、カルシウム源は牛乳より野菜や豆類などのほうが優れていることもわかった。人の体内にカルシウムを摂取するのに、牛乳ほど良くないものはない」
と菜食主義を勧め、牛乳消費に反対しているNPO〈責任ある医療を目指す医師会議・会員数10万人、うち医師は5000人〉の代表ニール・バーナードは言う(月刊『PLAYBOY』2000年11月号)。

体力向上と内臓への負担
「体格が良いイコール健康ではないのです」と真弓小児科医院院長の真弓定夫氏は語る。日本人は和食からのカルシウム補給と胴長短足体型によって骨や内臓が丈夫に保たれていた。「ところがわずか40年という短い期間で体格が大幅に変化したために、骨や内臓に負担がかかってついていけなくなっているのです」(『新潮45』2001年6月号)。

 何百年、何千年かけて、体質や体格が変化していくのであれば、適応できるかもしれないが、数十年の短いサイクルでは、内臓がついていけずに体が変調をきたすのも無理はない。「身長や体重が増えた分だけ、心臓はたくさんの血液を送り出さなければならない。体重が1キロ増えるごとに主要血管だけでも30メートルが加算されます。その結果、突然死や過労死が増えました。肝臓は以前よりずっとたくさんのものを解毒していかなければなりません。肝炎、肝硬変、肝臓ガンが増えるわけです。昔は腎臓透析をしている人は、ごくわずかでした。今は病院で順番待ちの状態です」(真弓定夫氏)

 牛乳や動物性食品には体を早く大きくするためのタンパク質が多量に含まれているが、その過剰摂取は、身体に大きな負担をかけている。動物性食品の取り過ぎがいけないことは、知られるようになってきた。しかし、動物性食品である牛乳だけは「飲みすぎてはいけない」と言われることがほとんどないのはなぜか。

 厚生労働省が国民の健康管理を目指して「健康日本21」というガイドラインを発表した。それによると、牛乳と乳製品の摂取は成人で1日あたり130※となっている。子ども達は既に学校給食で180ccの牛乳を飲んでいる。家へ帰ってからまでも、牛乳やチーズやヨーグルトを食べれば明らかに過剰摂取である。しかも、子どもは成人とは明らかに体格が違う。1歳6ヵ月から3歳までの子どもに300〜400ccの牛乳摂取を勧める保健所があるというから驚きだ。

牛乳と様々な病気
 牛乳は牛の子どもが育つためのものであり、人間の子どもが育つためのものではない。ましてや、離乳した子どもや大人が取るべきものでもない。「乳」には、その種の子どもが育つために必要な成分が含まれている。牛乳には牛の子どもを早く大きく育てるためのタンパク質(カゼイン)がたくさんふくまれているが、人間の子どもに必要な脳を育てる栄養素は少ない。人間の赤ちゃんを育てるのに必要な栄養素は、母乳に含まれている。

 また、牛乳に含まれるタンパク質など、人間と種が近い動物性の異種タンパクを、たくさん摂取するような西洋型の食事をしていると、ガンやクローン病などの難病を発症する可能性が多い。種が遠い野菜や魚中心の日本食を食べている人に比べ、難病にかかる割合が30倍以上も高いと、東京大学名誉教授の星 猛氏は警告する。

 アメリカの栄養学者T・コリン・キャンベルによれば、動物の乳をあまり飲まないアジア地域では、乳がんの発生率が低く、アメリカはその5〜6倍になるという。またフィリピンの貧しい子ども達にアメリカの援助プログラムとして、粉ミルクが与えられていた。しかし、その粉ミルクを飲んでいた栄養価の高い子ども達に、肝臓ガンの発症率が高かったという調査結果もある。乳製品に含まれる脂肪分が、動脈硬化や心臓疾患の原因の一つであることも報告されている。

 最近では、糖尿病や白内障の誘引の恐れもあることが報告されている。1970年にリヒターとデュークはヨーグルトを与えたラットの発育を調べ、その全てに白内障が現れ、しかも、若い幼いラットほど早く白内障になると報告している。原因は乳糖が分解してできたガラクトースが水晶体に蓄積することによるのではないかと言われている。日本でも宮崎大学教育学部教授の島田彰夫氏が、牛乳を良く飲む子と飲まない子の視力調査をしたところ、よく飲む子のほうが視力が悪いという結果も出ている。牛乳が白内障や視力低下に関連することがうかがえる。

 牛乳による様々なアレルギー症状(アトピー性皮膚炎、嘔吐(おうと)、下痢、慢性鼻炎、喘息(ぜんそく)など)は、体が拒絶していることを示している。

 これはアジア民族は欧米人と違い、乳の中の乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が少ないからである。サルが住めない地域(寒冷地)に住むようになった人間は、数千年をかけて環境に適応した体質へと変化し、欧米人は牛乳や乳製品をとっても大丈夫な身体になっていった。

牛乳礼賛は過去のもの
 牛乳のダイオキシン汚染は米の30倍、芋・豆類の6倍にもなる。食物連鎖による生体濃縮の原理があるからだ。例えば、牧草のダイオキシン濃度が1だとすると、牛の体内でそれは10倍に濃縮され、その乳では100倍に濃縮される。この生体濃縮を最小限に抑えるためには、食物連鎖の最初の野菜を中心に食べることを心がければ、極端に母乳のダイオキシン濃度が上がることはない。ベトナム戦争で大量にダイオキシンが散布された地域では、いまだに、奇形児やガン患者の発生率が高いという。

 最近では欧米でも牛乳を否定する報道がなされている。ジョンズ・ホプキンズ大学病院小児科のフランク・オスキー博士は「牛乳が子どもに欠かせないというのは幻想だ。カルシウムはブロッコリーなど一部の野菜や魚に豊富に含まれており、しかも牛乳と違い脂肪はない。牛乳はそもそも子牛が飲むもので、人間には全く必要ない」(『産経新聞』1992年10月3日夕刊)。

 タホマ・クリニック院長のジョナサン・ライト博士は「牛乳はもともと牛のためのものです。牛の骨格は丈夫(牛乳は身体を大きくする成分が主体)ですが、脳の機能は人間よりはるかに劣ります。牛乳には脳の細胞をつくる栄養素が足りないわけです」(『ホスピタウン』1999年3月号)。

 ベンジャミン・スポック博士も「2歳を過ぎた子どもには乳製品を与えず、肉も最小限にしてベジタリアンの食事を与えるのが好ましい」(『スポック博士の育児書』第7版)とある。

 日本でも厚生労働省の『健康日本21』について報道した「過剰タンパクでカルシウム排泄 厚生省が『牛乳神話』を密(ひそ)かに見直した」(『THEMIS』2000年11月号)、牛乳の危険性を説いた「『牛乳神話』の崩壊」(『新潮45』2001年9月号)「脱・牛乳を考える」(『週刊金曜日』2001年12月7日号)など挙げ始めたらきりがないほどだ。

 学校給食の改善は、保護者からの働きかけが一番近道である。子ども達を守るためにも、学校給食から牛乳をなくすことに是非声を上げてもらいたい。今や牛乳に対する見方を改める時が来ている。様々な身体的不調や心の乱れが見られる子どもは、この際、思い切って牛乳を止めてみることをお勧めする。

参考文献
自然にかえる子育て(食べ物文化別冊 真弓定夫 芽ばえ社)
牛乳神話完全崩壊(外山利通 メタモル出版)

 
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