ヘッダーイメージ 本文へジャンプ
特集:40歳からの砂糖断ち

特集:「インタビュー」犯罪や暴力との関連も指摘される白砂糖
摂りすぎる白砂糖の影響を北里大学東洋医学総合研究所の早崎知幸先生に聞きました。

犯罪や暴力との関連も指摘されていますので軽く見過ごせないことです。

――砂糖を摂ると、体の中でどのようなことが起きるのでしょうか。
 早崎 人の体には個人差があり、一律にということは言えません。そのことを前提にした話になります。  
 砂糖と人体の関係を見ると、糖分が体内に入ったら、消化器から吸収されて血糖値が上がります。人間の体は恒常性といって体の中を一定のバランスに保とうとする働きがあり、上がった血糖値を下げるために膵臓からインスリンが分泌されます。このインスリンの分泌がうまくいかなくなった状態が糖尿病で、高血糖による様々な不具合が体に起こるのです。  
 一方、脳の唯一のエネルギー源がブドウ糖です。そのため、一定の血糖値が保たれる必要性があります。 ――一定の血糖値を保つことが必要なら、一定の砂糖を摂ることに問題はないし、むしろ定期的に摂ったほうが良いように思うのですが。
 早崎 実はそこが問題なのです。世界には多くの民族がいます。その多くが、主食を穀物にしています。穀物の主成分は炭水化物で、この炭水化物は徐々に分解されてブドウ糖になり、脳の栄養源になるわけです。ご飯のような炭水化物の場合は、胃から腸にかけて徐々に分解されながら吸収されるので、血糖値はゆるやかに上がり、ゆるやかに下がります。結果として一定の血糖値を保ちやすく、変動も穏やかなので体への負担も少なくて好都合なのです。栄養学などない大昔から穀物を主食にしてきたのは、自然の摂理で人間の生存本能による発見であったのかもしれません。  
 それに対して砂糖の場合は、分解されずにそのまま吸収されるので、摂取すると血糖値が急激に上がります。少量であれば問題ないのですが、多量になるとこの急激に上がることで問題が生じてくるのです。その一つがインスリンと低血糖との関係です。  
 多量の糖分が繰り返し体内に入ると、血糖値は乱高下を繰り返し、バランスを保つために過剰なインスリンの分泌をするようになります。その結果、糖分を摂りすぎているにも関わらず低血糖状態が起こることになるようです。おなかがすいた時のことを思い出してもらうと分かりやすいのですが、低血糖状態では、脳のエネルギー源が足りなくなっている状態なので、頭がぼーっとして働かなくなります。また、低血糖状態は飢餓に直面していることを意味し、これが続くことは生物学的には危機的な状態ともいえます。  
 このような状態になると、体の中でアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは別名「攻撃ホルモン」とも言われ、分泌されると、イライラしたり怒りっぽくなったりします。ノルアドレナリンの分泌は、不安感や恐怖感が増すなど、いずれも発作的・衝動的感情が増し、普段の生活では歓迎できるものではありません。


罪を犯した小学生に見る摂りすぎる砂糖の影響

――「キレる」という現象は、もしかしてアドリナリンの過剰な分泌ということでしょうか。
早崎 それだけではないでしょうし、一様に断定はできませんが、可能性はあります。  
 以前のことですが、小学生が人を刺すという事件が起きました。加害者である小学生に犯行時のことを聞くと、嫌なことを言われてカッとなった後はよく覚えていないと言ったそうです。  
 ぼーっとして正しい判断ができず、さらに攻撃性・衝動性が増している状態、つまりキレやすいというのは、このような事件が起こる精神状態と似ていると言えるのではないでしょうか。この状態は、小学生だから発生したということではなく、大人にも当てはまることです。  
 砂糖を多量に摂ると、糖質の代謝に必要なビタミンが失われます。ことにビタミンB群が不足となります。ビタミンB群は、脳神経の働きに関連があるため、不足すると、脳神経に問題が生じることもあるということです。  
 統計的に、砂糖を多く摂る人は、野菜を摂ることが少ないので、もともとビタミンやミネラルの摂取が少ないうえに、さらに消費されて足りなくなるという悪循環になりやすいのです。  
 これはアメリカで実際にあったことです。罪を犯した少年達が収容された少年院で、3カ月間にわたって砂糖の量を減らした食事を与え続けると、施設内においての深刻な問題行動が80%、粗暴な行動が55%減少したというのです(F・カーンらのプロジェクト)。  
 砂糖の減量だけではないのですが、牛乳、乳製品、精製糖の摂取を禁じた食事制限で、再犯率は33・8%から11・7%に減ったという調査報告もあります(A・G・シャウス)。
――砂糖が脳に及ぼす影響というものは、ずいぶんと大きなものがあるのですね。
早崎 砂糖にも中毒性があることが最近の研究で分かってきました。一口に砂糖といっても、いろいろな砂糖があるので区別しなければならないことです。  
 サトウキビを搾って乾燥させた段階の黒砂糖は天然のものであり、ミネラル分が含まれています。ところが、ミネラルなどの栄養分を取り除いて加工された白砂糖を大量に使ったお菓子や清涼飲料水を常食、常飲していると、これらがやめられなくなる蕫砂糖中毒﨟になる可能性があるということです。  
 白砂糖は、精製糖といって自然の中には存在していません。砂糖中毒を解消しようとすれば、ミネラルの入っている黒砂糖、ハチミツなどに置き換えていくのが一つの方法です。  
 白砂糖を摂ることによって不足するビタミン、ミネラルを補うために野菜の摂取量を増やすのも良いですね。いきなり砂糖を止めようとしたり、摂る分量を減らそうとしても難しいことが多いので、砂糖以外の必要な栄養素を増やして体の感覚を正常に近づけることによって、砂糖中毒状態を軽減するようにもって行く方法が良いのではないでしょうか。
――アドレナリンやノルアドレナリンなど、言葉としては知っていたのですが、脳にずいぶんとマイナスの働きをすることもあることが、よく分かりました。それにしても、白砂糖の摂りすぎは犯罪行為や暴力行為と無関係ではないことを知って、驚いています。  
 今日は、貴重な話を聞かせていただき、ありがとうござました。


フッターイメージ